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9回目のアメリカ訪問の記

2004.10.27

今回で連続9回目のアメリカ実験動物学会(AALAS)参加になります。右も左もわからずアメリカに来たのが9年まえ、はじめは言葉も通じない生活環境も違う国にきていやな思いをするくらいなら2度と来たくないと思っておりました。今となっては来ないと物足りないような気がします。とくべつ何かが変わったわけではなく、慣れてきただけではないでしょうか?来年でAALAS参加 10 周年になりますので旅行記も記念版を出したいと思っております。

成田を出る時はあまり気にならなかったセキュリティチェックですが、シカゴへ着いて入国審査を受けるとき指紋押捺とやらにでくわしました。押捺というんでしょうかガラス面に人さし指を載せてデジタル記録されるようです。指紋と同時に顔写真を撮られました。小さなカメラがこちらを向いています。入国審査官はPCの画面の方を向いていました。これはテロ防止のためなのですが、犯罪者に行う行為のように思われました。時間がかかるので乗り継ぎ便に十分な余裕が必要です。


2日間宿泊したワシントンDCのホテル

 

アメリカ時間10月15>日(金曜日)本日の天気曇り、朝7時半ホテルを出て地下鉄レッドラインに乗るためデュポンサークルに向いました。今回は3名で行動しました。いずれも動物実験の関係者です。NIH の方と待ち合わせをしたメディカルセンター駅には30分前に着きました。2>年ぶりの場所ですが変わりなく朝の通勤で大勢の人たちが足早に出勤しておりました。たぶん NIH<に行く人達ではないでしょうか。約25000人が働いている>NIHです、朝は当然大移動が見られる訳です。車でくる人たちはIDカードを車中からセキュリティーの職員に提示し入ってゆきます。我々と同じように電車で来る人達は駅から無料送迎バスに乗り移動します。バスは各研究所を循環しております。一つの街のようなNIHですからそのあたりは充実しているようです。

8時半メディカルセンター駅にNIHの方が迎えに来られました。循環バスに乗り49号棟近くで下車、見学まえのミーティングをするため新館37号棟のカフェテリアに案内されました。朝食をとりながらスケジュールを打ち合わせしました。


正面が 37 号棟、手前が 40 号棟

最初に案内された棟の洗浄室にたくさんの個別換気ケージとラック(IVC)が洗浄。滅菌された後ビニールでラップされた状態で置いてありました。

昨年はテクニプラスト社からNIHには納入実績がないと聞かされていたため、とにかく驚きました。聞くところによれば今回 IVC 85 台購入したそうです。施設はまだ3分の1ぐらいしか完成していませんから、まだまだ納入される予定です。おまけにIWT(テクニプラスト社の関連会社)のケージワッシャーが設置されており、給水ビン自動化システム(クロノス)は入荷まちだそうです。自動給水装置はなく、すべて給水ビンで運営してゆくようでした。担当者の連絡先を頂きましたので今後もウォッチングしてゆくつもりです。


給水ビン方式のIVCラックシステム(イメージ)

テクニプラスト社の IVC を選んだ理由をお聞きしました。1)音が静かであること、2)振動がケージに伝わらないこと、3)ケージをラックから取り出さずに給水ビンの交換ができること、4)ケージ内を陽圧または陰圧に切り替えることができること(陰圧の隔離・検疫室にも設置されていました)。


40 号棟をバックに筆者

もう一つ気が付いたことは、動物室への入退室コントロールが従来の PIN(暗証番号)方式または磁気カード方式から指紋方式に変更になっていることでした。空港での入国審査といい動物室への入室コントロールといい、個人の識別が指紋によって行われるようになりました。

 

サルの施設を見学するため49号棟へ案内されました。私は3度目なのですが御一緒した方ははじめてなので興味深くご覧になっておりました。今回変わったかたちのエンリッチメントグッズを見せてもらいました。それらは言葉で表現しにくく下記のようなイラストで描いてみました。下記のような弾力性のある筒上のパイプに乗って楽しそうにしておりました。筒の中には藁上の床敷が入れてあり、中で遊んでいるサルもいました。


直径30?40の筒状でブヨブヨした軟質塩ビのようなもの

来年は今まででもっとも進んだ施設を見学できそうなのでぜひ訪問したいと思っおります。日本の動物施設管理をされている方々には参考になるところが多いので、ぜひチャンスをみつけてご覧いただくことをお勧めします?

ワシントンに2日滞在したのちフロリダのタンパへ移動しました。

気温が低いところから暖かいところに移動ということで気持ちが楽になりました。空港に到着、やはりタンパは暖かい。ダウンタウンのホテルに移動、チェックイン後食事を済ませ就寝。


タンパでの宿泊先

午前8時起床、朝食をすませレジストレーションのため AALAS の会場(タンパ・コンベンションセンター)に向かいました。本日の予定はレジストレーションとウエルカムレセプションへの参加です。さすがにワシントンと違い半袖でも暑いくらいの気候です。会場では人はまばらで申し込みはすぐ終えました。クーポン券のようなものが学会プログラムについており、係りに提示すると色々なグッズがもらえます。バックもその一つで毎度楽しみにしているのですが今回は登山バックのような袋でした。(少し残念)日曜日なのでダウンタウンに出ても人影がまばらでした。いよいよ明日からは学会がスタートします。


コンベンションセンターからベイを望む


コンベンションセンター海側

まずは展示会場へ足を運び Tecniplast、 BioServ、LabProduct、Edestrom ほか関係ブースにあいさつまわりをしたあと他の会社の展示ブースを見て回りました。今年の展示を見て感じたことは昨年より新製品の数が少なく来年はもっと少なくなるような気がします。そんな中で目をひいたのは下記の商品です。これはケージレベルでの隔離を強化したもので強い陰圧と密閉度が維持されます。ISOCAGE システムといいます。感染実験や検疫に使われます。(参照:http://www.tecniplast.it/new_improved/new.php


Tecniplast 社の展示風景(奧に新製品コーナーが)


Isocage system

Isocage

プラットホーム・セッションというのを回ってみました。AALAS における口頭発表というのはセミナー、レクチャー、ワークショップ、円卓討論などという形で行われ、いわゆる研究発表のほとんどはポスター発表の形式で行われます。そのため限られたスペースの中でいかに自分の研究成果をアピールするか。それぞれ工夫がなされていて面白かった。

私はエンリッチメント関係を見て歩きました。1)マウス用市販環境エンリッチメントの評価:動物に聞いてみよう、2)羊および山羊用の大動物エンリッチメント、3)FVB マウスの繁殖成績に及ぼす環境エンリッチメントの影響、などがありました。詳しくはアニメックまでお問い合わせ下さい。

11 時からはチャールスリバーがスポンサーをするセミナーを聞きました。タイトルは「動物福祉:世界的問題、傾向、チャレンジ」というものでした。3年ほど前まではチャールリバーは大きなパーティーを主催しており、それに出席することが AALAS 参加の1つの楽しみでしたが、2年前からこういう学術的な催しのスポンサーをすることに変わりました。

一口に動物福祉といってもグローバルに見ると、その国々の歴史、文化、宗教あるいは法律の違いによって多様性を持つことがわかりました。いっぽうサイエンスの観点から見ると、世界的に一定レベルの水準が確保される必要があるわけで、今後は世界的なハーモナイゼーション作業が進んでいくものと感じました。

 

いろいろなパーティーが行われたマリオットホテル


ホテルとコンベンションセンターを巡回するバス

あさ会場に行きエンリッチメントの販売をしているBio-Servの方と日本の動向や今後の展開などを話し合いました。そのあとで買い物に出かけることにしました。タンパの初日に気がついたのですがダウンタウンには飲食店やショッピングモールなどはなく買い物は乗り物に乗り出かけなければならないのです。タンパ空港近くのインターナショナルプラザというモールに行きました。大きさといい品揃えといい素晴らしいモールでした。ティファニー、コーチなどの有名ブランド店がたくさん出店していてタンパの街なかとのアンバランスを感じました。空港のすぐ側に位置しております。女性の方はぜひ一度行ってみられてはいかがでしょうか?まる一日あっても回りきれないくらいの大きさです。


買い物に出かけた INTERNATIONAL PLAZA

夕方、学会が主催し Harlan がスポンサーをするファイナルパーティーがあるので参加しました。ファンデーションオークションを中心にしたもので半数がオークションに、半数は飲んだり食べたりの様相でした。とにかくこれで今年のAALASも終わりです。とはいってもセッションは明日もございます。

最後にまたひと波乱かなと思ったのは、シカゴ出発前に整備上の都合で出発が1時間遅れるアナウンスがありました。あれは4年前、AALASがサンディエゴで開催されたときの帰り便でした。同じようなアナウンスがあり機内に3~4時間閉じ込められたのち、結局翌日出発になってしまいました。

今回はアナウンスどおり1時間後に出発できました。成田に無事到着しほっとしました。

 


タンパからシカゴ 便


シカゴから成田 便

今回の AALAS にはたくさんの日本人が参加しました。少ないときの3倍~4倍くらいではないでしょうか。たいへん良いことだと思います。AALAS はアメリカ実験動物学会ですが世界実験動物学会といってよいでしょう。AALAS アメリカ、FELASA 欧州などの学会に積極的に参加し日本の技術レベル向上に役立ててもらいたいと思います。今後もできるかぎり AALAS に連続して参加し皆様のお役にたちたいと思っております。来年の AALAS はセントルイスで11月6日から10日まで開催される予定です。日本からのアクセスは良いかと思います。ぜひ計画を立ててみてはいかがでしょうか?


セントルイスへ行きましょう

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