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げっ歯類の環境エンリッチメント
(メモ)

第54回アメリカ実験動物学会がシアトル市で10月12-16日に開催された。数年前からげっ歯類の環境エンリッチメントが話題になっていたが、今年は特に特別セミナー、ラウンドテーブル・ディスカッション、ワークショップなどがいくつか開かれていた。それらで見聞したことをメモ風にまとめてみた。ご参考になれば幸いである。
1986年、動物福祉法(Animal Welfare Act)にイヌおよびサル類における環境エンリッチメントの必要性が定められた。近年、イヌおよびサル類以外の実験動物についても環境エンリッチメントの必要性が叫ばれている。環境エンリッチメントとは生活に変化を与えることである。動物実験における3Rにストレスを減らすということも加えるべきである。ストレスを減らせば、繁殖率を向上させることができる。しかし、その普及・拡大にはいろいろと障害がある。

1)障害となるもの

 コスト、時間、科学目的との整合性、GLP

2)コスト

 捨てるものがあればエンリッチメントとして使える。たとえば、氷。給水ボトルの古いものはウサギのエンリッチメントに使える。

3)科学目的

 よいストレスがないと、新たにストレスを加えたときに悪い反応が起きることを知る。試験を害するものは少ない。

4)タイプ

a)
巣作り材
b)
ハウス、チューブ(構造体)
c)
エサ
d)
パズル、車輪(複雑なもの)
e)
音楽/ビデオ
f)
人との積極的な接触

5)要求されること

a) 巣作り材
b) ケージからの出し入れが簡単なこと
c) 洗浄・消毒がしやすいこと/捨てやすいこと

6)一般的なエンリッチメント

  a) エサ

・ ウサギ、イヌのエサをげっ歯類に与える
・ ピーナッツ、野菜、果物
・ 新芽、葉、小枝、木片
・ ひまわりの種(照射可)、ショウガ風味のクッキー
・ ヨーグルト

  b)巣作り材

・ペーパータオル
・圧縮綿
・コーンコブ
・乾草、わら

  c)ハウス

・PVCチューブ
Bio-Serv
Tecniplast
・ボール紙の筒(紙管)

 d)複雑なもの

・迷路式給餌器
・ボール紙の箱/紙管 (紙やエサを詰める)
・氷
・音楽とビデオ

7)プログラムの開始

a)

小さく始める

b)

所内動物実験委員会(IACUC)の了解を取る
文献を集める、小集団に焦点を当てる、試験的に行う、データを集める

c)

モニター動物を用いる

d)

プレゼンテーションを行ってから、エンリッチメント効果を調査する

e) 所内動物実験委員会に承認させることが重要。

8)研究者に対し

 ・

PRが重要・不可欠

 ・

文献を集めること

 ・

エンリッチメントによってストレスが減る、アグレッシブでなくなることを訴える。

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