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第39 回 日本実験動物技術者協会総会が平成17年6月24日(金)~25日(土)に金沢市で開催されました。そのさいには当社展示ブースへ多数のご来訪をたまわり厚くお礼申し上げます。

今年の展示は上の写真に示しますように環境エンリッチメントに焦点を当ててみました。総会におけるシンポジウム「実験動物の福祉と環境」でも環境エンリッチメントが議論されていました。また展示ブースの近くで行われたポスターセッションでも環境エンリッチメントに関する発表で活発なディスカッションが行われていました。

それらの発表要旨をここにご紹介します。

平成17年6月26日
(株)アニメック 代表取締役 富 田 久 志

 


○武智眞由美1)、桐原由美子1)、黒崎 薫1)、三浦 隆1)、吾郷昭夫1)

1)島根大学 総合科学研究支援センター 実験動物分野)

(第39 回 日本実験動物技術者協会総 講演要旨より引用)

【目的】前回我々は、環境エンリッチメント器具の使用がICRマウスの成長と健全育成に良い影響を与えることを報告した。今回、疾患モデル動物KK-Ay/Ta(肥満、高血糖)マウスに環境エンリッチメント器具を用いて飼育した場合、その発病時期や程度、血液の生理学的数値にどのような影響を与えるのか検討したので報告する。

【方法】4週齢の雄性マウスKK-Ay/Taを21匹使用した。ドーム状エンリッチメント器具使用群(ドーム群)7匹、ドーム+回転盤エンリッチメント器具使用群(回転群)7匹、通常飼育のコントロール群(C群)7匹の3群に分け、単独飼育で16週間飼育した。エンリッチメント器具は、(株)アニメック製の赤色樹脂製で、半球型のドーム上部に回転盤を取りつけることもでき、その上をマウスが自由に走行することができる構造になっている。実験開始から週1回体重、摂餌・摂水量、尿中ブドウ糖を測定。3週間おきに尾静脈より採血し血糖値を測定し発病の時期や程度を観察した。実験終了後安楽死させ、採血、解剖を行い血液生化学検査及び主要臓器重量の測定、主要臓器の病理組織学的観察を行った。

【結果】摂餌量、摂水量については各群に差はみられなかった。体重は3週日以降、回転群がC群に比べ有意に低い値を示し、ドーム群はC群に比べ低い傾向を示した。

血糖値は6週日以降、回転群がC群に比べ有意に低い値を示し、ドーム群は6週目にはC群に比べ有意に低い値であったが、9週目以降はC群と同様の値を示した。解剖時の血液生化学検査では回転群の血糖値が他の2群に比べ有意に低い値を示したが、その他の測定項目について有意差は見られなかった。臓器重量については、回転群の肝臓、腎臓周辺脂肪がC群に比べ有意に低い値を示したが、その他に有意差は無かった。また肝臓の病理組織学的観察では、C群のほとんどが脂肪肝の様相を呈していたが、回転群では正常あるいは軽度であった。これらのことから、エンリッチメント器具を使用することによってストレスの軽減や自発行動の増加を促し、糖尿病の症状を和らげる効果があることが示唆された。

 



○吾郷昭夫1)、武智眞由美1)、桐原由美子1)、川上浩平1)

(1)島根大学 総合科学研究支援センター 実験動物分野)

(第39 回 日本実験動物技術者協会総 講演要旨より引用)

【目的】環境エンリッチメントは動物福祉の立場から様々な方策がとられているが、その効果を客観的に評価することが必要である。それには何らかの尺度を設定し、それを客観的に測定する必要がある。今回我々は環境エンリッチメントとして竹筒を用いて、ラットの自発運動量と尿中カテコールアミン量を測定することによりエンリッチメントの評価を試みたので報告する。

【方法】6週令の雄性ウィスターラットを回転式運動量測定装置付き飼育ケージに入れ、ケージ内に竹筒(内径約7cm、長さ15cmの真竹)を入れた群(E群)と何も入れない群(C群)に分け、1匹飼育で各群6匹を用い、実験期間は6週間とした。運動量は週1回24時間の回転数を測定した02週目、4週目、6週目に代謝ケージに移し24時間尿を採取し、尿中カテコールアミンをアドレナリン・ノルアドレナリンの分画を測定した。なお予備実験として市販の樹脂製トンネル(アニメック)と竹筒を金網製飼育ケージに入れ居住性の選択嗜好性試験を行なった。これは5匹の雄性ウイスクーラットについて明期における睡眠場所を確認する方法で行った。

【成績】予備実験の結果は竹筒51%、樹脂性トンネル41%、金網床7%で睡眠をとっていたので、本実験は竹筒を用いて行った。24時間の回転数は0週目では500~700回であったが、1週目1500回、2週目3000回と経時的に増加し、5週目では約9000回まで増加したが両群間に差はみられなかった。24時間尿量は2週目は10ml、4週、6週では14~16mlで両群間に差はみられなかった。尿中カテコールアミン2分画ではアドレナリンはE群がC群に比べすべての期間において有意に低い値を示した。ノルアドレナリンは両群間に差はみられなかった。

【結論】ラットの飼育ケージにトンネル型エンリッチメントを入れてやると90%以上がその中で睡眠をとることが観察された。このことはトンネル型エンリッチメントがラットの安寧に寄与していることが示唆された。さらに尿中アドレナリンの低下結果から、ラットは精神的にリラックスし、ストレスが軽減することが推察された。


石郷岡清基1〉、千田進介2)、鈴木美帆子1)、松田幸久1)

(1)秋田大学 バイオサイエンス教育研究センター 動物実験部門、2)分子医学部門)

(第39 回 日本実験動物技術者協会総 講演要旨より引用)

【目的】 当施設では床敷材から飛散する粉塵によるアレルギーが問題になっている。また,実験動物用の床敷材は各種開発されているものの,その選択にあたっては自然環境の保護あるいは動物愛護の観点からも考慮する必要がある。そこで今回,各種床敷材についてアンモニア濃度,電顕による内部構造それに浮遊粉塵量について比較をしたので紹介する。

【材料および方法】1)供試床敷材はパルマスαN((株)天然素材探索研究所)とケアフイーズ(ハムリーK.K)の2種類と比較対象としてウッドチップとコーンコブ。  2)1ケージ当りの各床敷材の重量は20~40g。マウスはC57BL/6♂15週齢で,5匹/1ケージ各3群である。 3)ケージ内アンモニア濃度は2~10日間,パッシブ・ドジチューブ(井内盛栄堂)で測定。  4)電顕の資料作製:サンプリング試料はカミソリの刃で2~3mmに切断,その面に厚さ300Åの金を直接蒸着,SEM T-200(日本電子社製)で観察。  5)粉塵量の定性的比較:ダーラム法の変法により3,5,7日目に顕微鏡下で比較観察。

【成績および考察】 アンモニア濃度は4種類とも3日目では3~7ppmと低値を示したが,4日目で4~15ppmと差がみられ特にウッドはその後も急激に上昇し,7日目で30ppm以上と高値を示した。一方,他の3種類は10日目でも18~23ppmと許容範囲内であった。また,電顕所見ではウッドとコーンは多孔質性でハニカム構造(蜂の巣状)を呈しコーンはさらに孔を形成する隔壁面にも多数の小孔が見られた。一方,パルマスαNは特殊な多層構造を呈し,また,ケアフイーズは密と粗の部分がサンド状で孔は全くない単純構造であった。さらに浮遊粉塵量は各床敷材とも3日目までは差はなく,5日目では明らかにウッドとケアフイーズが多く,7日目でも両床敷材は増加傾向を示した。以上の結果,構造上コーンとパルマスαNが理想的であった。また,アレルゲンが浮遊粉塵中に含まれることを考えた場合,今後床敷材の選択には十分な検討が必要と思われる。


 コーンコブ床敷

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