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実験動物の環境エンリッチメント

(株)アニメック 社長 富田久志

日本実験動物学会ニュース  平成 15 年5月

2003年4月7日、 NHK のお昼の番組で「飼育環境のエンリッチメント」という題の解説がありました。展示動物のお話ですが、飼育環境のエンリッチメントとは「動物福祉の観点から、動物の“行動や生態”を尊重し、“心”を豊かにする」ことであると説明されていました。

具体的には、

1)食事に時間をかける(野性のペースで食事をする)

2)自然な環境(自然な行動がとれる)

3)本来の生態を大事にする(群(むれ)で飼育すると繁殖率が向上する、など)

 

2001年10月19日、アメリカのNIH(国立衛生研究所)の中のNCI(国立癌研究所)の動物施設を見学しました。面白いものを発見しました。マウスの床敷き飼いケージ内に円筒形でまるでトイレットペーパーの芯のような物が入れてあり、その筒の中を楽しそうにマウスが走り回っていました。なかには中に隠れているマウスもいて動物実験中とは思えないような光景を見ることができました。何も入れていないケージで飼育しているマウスと比べ落ち着きがあるようにも思えました。 トイレットペーパーの芯かと思っていましたら物品庫には滅菌済みというコンテナにラット用の大きなものが入っていました。げっ歯類用に作らせているとのことでした。(1)

ケージ内にもう一つ変わった物が入っていました。5cm四方の四角い紙片で厚さが6~7mmの圧縮した物でした。ハードチップなどを使用する場合、特に効果がある代物だそうです。コーンや木片チップを使用したいが巣造りがとお悩みの方に是非お勧めします。マウスは噛み砕いた紙片できれいなサークルを造りその中で気持ちよさそうにしていました。噛み砕く材料があり、巣造りの材料があることはマウスに対するエンリッチメントに役立つのではないかと思いました。 (1)

つづいて22日~25日に開催されたアメリカ実験動物学会(AALAS)の展示場では赤い透明プラスチック製のトンネルを見ました。赤色透明プラスチックのトンネルはネズミが中に入ると暗く感じるが人間が外から観察するには支障がないとのことでした。プラスチックのものは滅菌して繰り返し使います。トイレットペーパーの芯のようなボール紙のものは使い捨てされます。よく考えています。トンネル型以外にイグルー(エスキモー人の半円小屋)やボール(球)の形をしたものがありました。 (1)

2002年10月28~31日に開かれたAALASの展示会では、このイグルーの上に回転板を傾けて乗せ、マウスが自由に走れるタイプのものが発売されていました。大変な人気で人だかりがしていました。この製品は当社の展示ブースでご紹介しております。(2)

毎年AALASに出席して感じるのですが、飼育器材、飼料、動物生産会社などがエンリッチメントに対して気配りをしているようにも見えました。それは各種エンリッチメント・グッズを展示したり配付したりしておりました。アメリカに動物用エンリッチメント・デバイスのみを販売している会社があります。それだけで商売が成立つ国の大きさに驚かされました。小動物用からサル、イヌ用まで沢山の種類があります。動物実験がつづく限りエンリッチメントの重要性は増すばかりです。

なお、実験動物の環境エンリッチメントに関する資料は当社のホームページで詳しくご紹介しておりますので、ぜひご訪問ください。(3)

<参考資料>

1)アメリカ実験動物研究ツアー

2)NIH・AALASツアー2002

3)環境エンリッチメント

 
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